万物は移り変わる
随分と前にウォール・ストリートジャーナルに掲載されていた記事。
世界最強と言われるU.S NAVY、次いでカナダの軍隊でも”腹筋運動”が行われなくなった。
間違ったことを止めることができたのは凄いことだ。
時代は移り変わり、科学は日々目覚ましい進歩を遂げているにもかかわらず、古典的トレーニングは古い習慣のように残っている。
これからの時代を生きる世代こそ、新しい常識を身につけて欲しいと思う。
腹筋が割れていたら強い?
腹筋運動で注目されるのは”シックスパック”の愛称で知られる腹直筋。
これをギュッと硬く縮めることができれば、安定した体幹が手にはいり、インナーマッスルが刺激され代謝もアップしてコアも引き締まる。というのが一般的なイメージではないでしょうか。
そんな文章を読んでいても、知らず知らずのうちにお腹に力が入っていたり。
固く信じて止まないこの”シックスパック”神話、本当に信じるに値するのか少し反証してみましょう。
赤ちゃんは腹筋運動を行いません
赤ん坊は誰に教えられるでもなく、自然と二足歩行を習得します。
日々成長するので体重が増えますが、筋トレは必要ありません。
腹筋運動などせずとも安定した体幹が出来上がります。
内臓には重さがある
当たり前のことですが、からだの中(内臓)にも重さがあります。
お腹いっぱいご飯を食べたときに、おなかがポヨンと出ますよね?
後ろには背骨があって、左右はスペースが狭いので、圧が逃げやすいお腹がポヨンと出るわけです。
おなかはポヨンとしてていい!
食べたときにもおなかがポヨンとならないほど、外側から圧を高めてしまうと内臓が窮屈になります。
押しつぶされた内臓では消化や泌尿器系にも影響が出ないか心配ですし、腹筋を固くして快適に感じますか?
動物だけでなく、魚も鳥もふっくらとしたおなかで気持ち良さそうに動いています。
2本足で歩く私たち人間だけがお腹を固くすることに必死になっているように思えます。
コアを強化するのに腹筋を固める運動が良いのであれば…
私たち人間は高さと幅があり奥行きもあるので、立体的な構造をしています。
ということは建築物と同じように、重力に影響を受けていると言えます。
建物は地震で揺れた時に揺れないように耐震補強が必要になってきますが、人のからだのように建物の”腹筋”に当たる部分だけを強化しておけば大丈夫なのでしょうか。
建物の柱を「骨」、壁面を「筋肉」として考えると、腹筋にあたる部分がどこになるかはわかりませんが、家の正面の壁だけ分厚くしたとして、あるいはギュッと収縮させたとしても補強になっていないのは明白です。
なんとなく強さや美の象徴になっているシックスパックと腹筋運動ですが、人の成長にない動きで、自然界にも存在しにくい動きで、固くしても分厚くしても構造的に強化されたと言えない動きをそろそろ止めてみてはいかがでしょう。