出発まであと1ヶ月
サンティアゴ巡礼の旅の出発まであと1ヶ月を切った。
クライアントは仕事もあり、最初に計画していたようにセッションが進んでいない。
ただ日々のトレーニングはしっかりと行なっているようで、トレーニングの後からだが疲れを感じることなどはないらしい。
これまで運動習慣がなかったにも関わらず、からだに不調などがないのは素晴らしい。
ただ一度だけ、肩がけの小さなカバンを斜めにかけて歩いた日は、ものすごく腰が痛くなり、左右のバランスの悪さがもたらす影響について気づくことができたという。
旅は非日常だ。
まして日本を離れ、約40日の長い旅なので、体調を崩さないようにすることは大切だ。
日々のトレーニングも距離を伸ばして行く必要があるので、その中で体調を自分で管理することを今回のセッションでは行なった。
自分でからだを整える
長い旅の中で、日々の疲れを残さないようにすることはとても大切になる。
まして日本からの長距離移動を終え、出発地点に着いたらいきなりピレネー山脈を越えるセクションが待っているとなると、エコノミー症候群はもちろん、移動で凝り固まったからだでは話にならない。
ということで、今回は自分でからだを整えることを重点的に行なった。
セッションにかかった時間は約90分、自分一人で行うセルフケアの方法を伝えた。
写真は、左がビフォー・右がアフターとなっている。
途中暑くなり、服装が変わってしまっているので比較するのが難しいが、
まっすぐ正面を向いた時、足の幅が広がり、そのことで少しデコルテが広がった印象になっている。
横から見ると、前に突き出していた腰が少し後ろへ戻り、つま先加重から踵加重になったことで、ギュッと縮まっていた胸のスペースがふっくらしたことと関連づけられる。
後ろから見ると、肩が広がり、頭頂部が頭上へと引き上げられているのがわかる。からだの背面にある踵が安定したことで、地面からの反発が正しく頭上へと抜けるようになったからだ。
反対側から見ても、前に傾いていた重心が後方へと戻り、突き出していた腰が戻っていることがわかる。
何を基準に自分でからだを整えるのか
私たちは地上で1Gという大気圧を受けて(引力に引っ張られて)暮らしている。
地球上で暮らし、私たちに質量(重さ)がある以上、重力からは逃れることができない。
しかし言い方を変えると、重力をうまく利用することで楽にからだを動かすことができる。
つまり、この重力下で楽に動くことができる位置をからだで感じることが判断基準になるのだ。
からだがどういう状態なのかを意識する
私たちは繰り返す日常の中で、無意識のうちに行動パターンを自動化して楽をしようとする。
子どもの頃はあんなに大変だった自転車の運転も、慣れたら最初の苦労をさっぱり忘れてしまうし、どうやってバランスを取りながら乗っていたかなんて考えることもない。
これが、人間のすごい能力でもあるのだが、このことに気づいている人は意外と少ない。
気づいていないと、間違った力の伝達をしていてもそのままになる。
間違った力の伝え方は、間違ったからだの使い方に起因していて、結果として「痛み」や「不快感」としてフィードバックされる。
そのフィードバックに対して、改善を施さなければ、結果はさらに悪くなる。
悪くならなかったとしても、良くなることはない。
旅は非日常と言ったが、旅に出るまでは日常が連続している。
出発までの残された時間、疲れを残さないようにトレーニングに勤しみながら
感覚に意識を向け、からだの使い方を今より「快適な状態」へとアップデートしていくことが、巡礼の旅を快適にするかに大きな影響を与える。