パートナとして、男性として、出産に関してできること

コバヤシヒロタ

女性の骨盤と人生のサイクル

女性は子どもを体内に宿し、出産というプロセスを経て、この世に新しい命が誕生する。

まだ記憶に新しい、妻の妊娠〜出産。

からだにもう一つの命を宿して、10ヶ月ものあいだ、生活を共にする。

講師にアナトミー・トレインの著者トーマス・マイヤーズ氏と、産婦人科医で日体協公認スポーツドクターの高尾美穂さんを迎えて

妊娠・出産を中心にみた、女性のからだの変化を、医学と徒手療法の観点から理解する2日間だった。

 

男性にはわからないであろう”女性”の身体

そもそも私たちは他人のことはよくわからない。

感情や体調など推測することはできても、推し測ったことを自らの経験に置き換えて理解しようとするのが精一杯ではないだろうか。

女性の身体は妊娠・出産のために動いており、ホルモンバランスによってコントロールされている。

よく聞く話で、自分自身が体験できないことなので、想像する以外になかったのだが

子宮や卵巣の特性、ホルモンによる生理学的・肉体的変化がどのように起こるのか、

月経との付き合い方や、妊娠出産に向けて注意するべきことなど、専門性の高い内容を、

身振り手振りを交えてとても丁寧に説明してくれた。

妻が妊娠し出産を迎えるまでのからだの変化や、その時々必要としていたサポートなど

間接的に経験したことと重なり、いろいろなことが腑に落ちることとなった。

 

時代や場所で変化する出産のかたち

「自然分娩か、無痛分娩か」出産にはいくつかのかたちがある。

どちらを良しとすることもないのだが、日本では自然なお産を望む方が多いのではないだろうか。

だが、晩婚化など妊娠がこれまでと比べて遅くなったことや、不妊治療での受胎、人口過密地での出産など様々な理由から、無痛分娩(帝王切開)で出産するケースも増えているという。

また、国が変われば状況も変わり、アメリカやブラジルでは無痛分娩が日本より高い確率で受け入れられているという。

ちなみに私たちは自然分娩を考えていたが、陣痛が始まりとともに状況が変わり、緊急帝王切開となったのだが

今回、現代の日本でも年間数人が出産により命を落としているという話を聞いて

出産は母子ともに命をかけた瞬間だということ、そして出産に立ち会う医師や助産師の立場というものが少し理解できた気がする。

 

パートナーとして、男性としてできること

出産に立ち会った方なら、男性がいかに無力かを感じたのではないだろうか。

トレーナーとして、またボディワーカーとして、一般的な人よりからだのことを熟知しているという自負はあるが、それでも出産に立ち会うと恥ずかしいぐらい何もできなかったことがそれを物語っていると思う。

そうした自らの経験と、今回のワークショップで感じたことからパートナーとして男性ができることといえば、女性が快適に過ごせるようサポートに徹するということ。

それは家事のなかで力を伴うようなことを率先して行うことはもちろん、できることなら食事などで体調管理ができるようにしたり、からだに触れて少しでも肉体的な疲労やストレスを軽減するようにしたり、パートナーが心身ともに健やかな状態で過ごせる環境をプロデュースすることだ。

これはアメリカ行きのフライトで機内放送のNHKでたまたま見たのだが、

妊娠出産の間にホルモンの働きによって起きるであろう、女性のからだの変化について事前に知っておくことも快適な環境をプロデュースする上で役に立った。

そして、これらのことをより早い段階で知っておくことだと思う。

中学校や高校の保健体育で習う「二次性徴」の話ではなく、

人生を生きる上でパートナーが一番サポートを必要とする時期に何ができるか、どう立ち居振舞うかということの方が、

私たちの人生が連続した時間の積み重ねのなかで、敬意を持って新しい命が生まれるという奇蹟に立ち会うことができ、より幸せな人生を歩むためのエッセンスになるのではないだろうか。

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