構造が崩れるということ⑤

コバヤシヒロタ

崩れていく力、それを正そうとする力

構造が崩れる(バランスが崩れる)ということは、写真のように水平・垂直に対して3つの軸でズレが生じるということだ。

ちなみに人間のからだは恒常性を保とうとするので、バランスが崩れたとしても、一番上にある頭の水平を保とうとする傾向がある。

人はこうしてバランスを失いながらも、辻褄を合わせてなんとか真っ直ぐ立とうとするが…

この時にからだを支えている大黒柱である背骨は大きくしなり、歪み、構造が崩れてしまう。

頭では真っ直ぐ、でも実際は真っ直ぐではない…

この正しく立てているはず… だが、実は正しく立てていないという状態を知らせるために、からだにあるセンサーが働き、それを痛み不調として知覚させる。

 

いい姿勢(正しい構造・安定している構造)とは…

「背筋をピンと伸ばす」という日本語があるが、あれは誤った表現

「背骨にあるアーチをしっかり作って、下から伸び上がるマストのように背骨を楽にする」というのが正しい表現だと思う。

その証拠に、脊椎(背骨)は決して物干し竿のような真っ直ぐな棒じゃない。

しかし残念なことに、幼い頃から散々「気をつけ!!」という意味のわからない姿勢を取らされてきた私たちは「背骨=真っ直ぐ」のイメージが植えつけられている…

そのくせ、真っ直ぐなイメージを崩す行為は平然とやってのけるから、正しい構造なんてものを理解しているのは一部の職業人に限られる。

つまり一般的には、背骨は真っ直ぐな物干し竿のイメージで、それを維持するためにはからだをぎゅっと縮み、強張らせてないといけないと思い込んでるのだ。

残念なことに、それは間違いなのだけれども…

 

構造が崩れると現れる不調

ただでさえ利き手があり利き足があり、からだは左右に回旋し(捻れ)ているのに、足元であろうと骨盤であろうと、土台が(しかも無意識下で)傾いてしまっていたらからだはもうガタガタだ。

とはいえ、それでも私たちは「痛み」を感じることなく暮らすこともできるのは、ある程度の捻れが許容されているからとも考えることができる。

その捻れが、個人差はあるものの一定のところ(状態)を超えたとき、それは痛みや不調として表面化する(意識下に上がってくる)。

構造が崩れるということは、脊椎(背骨)が変形するということなので、脊椎の中を走っている神経系に変化が現れるということだ。

神経系に変化(圧迫などにより伝達障害)が起きた場合、上の図のようにからだの各部分に不調が現れる。

それは時として、麻痺脱力だったり、痙攣皮膚障害だったり、消化器系などからだの内側の機能障害だったりすることが考えられる。

ただ、それらを構造上の変化が起こす変化(病変)と捉えられるケースは多くないのだが、

それもまた全体性を損なったからだの見方が広がったことに起因していることが考えられる。

 

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