EL CAMINO サンティアゴ巡礼の旅 〜セッション3〜

出発まであと1ヶ月

サンティアゴ巡礼の旅の出発まであと1ヶ月を切った。

クライアントは仕事もあり、最初に計画していたようにセッションが進んでいない。

ただ日々のトレーニングはしっかりと行なっているようで、トレーニングの後からだが疲れを感じることなどはないらしい。

これまで運動習慣がなかったにも関わらず、からだに不調などがないのは素晴らしい。

ただ一度だけ、肩がけの小さなカバンを斜めにかけて歩いた日は、ものすごく腰が痛くなり、左右のバランスの悪さがもたらす影響について気づくことができたという。

旅は非日常だ。

まして日本を離れ、約40日の長い旅なので、体調を崩さないようにすることは大切だ。

日々のトレーニングも距離を伸ばして行く必要があるので、その中で体調を自分で管理することを今回のセッションでは行なった。

 

自分でからだを整える

長い旅の中で、日々の疲れを残さないようにすることはとても大切になる。

まして日本からの長距離移動を終え、出発地点に着いたらいきなりピレネー山脈を越えるセクションが待っているとなると、エコノミー症候群はもちろん、移動で凝り固まったからだでは話にならない。

ということで、今回は自分でからだを整えることを重点的に行なった。

セッションにかかった時間は約90分、自分一人で行うセルフケアの方法を伝えた。

写真は、左がビフォー・右がアフターとなっている。

途中暑くなり、服装が変わってしまっているので比較するのが難しいが、

まっすぐ正面を向いた時、足の幅が広がり、そのことで少しデコルテが広がった印象になっている。

横から見ると、前に突き出していた腰が少し後ろへ戻り、つま先加重から踵加重になったことで、ギュッと縮まっていた胸のスペースがふっくらしたことと関連づけられる。

後ろから見ると、肩が広がり、頭頂部が頭上へと引き上げられているのがわかる。からだの背面にある踵が安定したことで、地面からの反発が正しく頭上へと抜けるようになったからだ。

反対側から見ても、前に傾いていた重心が後方へと戻り、突き出していた腰が戻っていることがわかる。

 

何を基準に自分でからだを整えるのか

私たちは地上で1Gという大気圧を受けて(引力に引っ張られて)暮らしている。

地球上で暮らし、私たちに質量(重さ)がある以上、重力からは逃れることができない。

しかし言い方を変えると、重力をうまく利用することで楽にからだを動かすことができる。

つまり、この重力下で楽に動くことができる位置をからだで感じることが判断基準になるのだ。

 

からだがどういう状態なのかを意識する

私たちは繰り返す日常の中で、無意識のうちに行動パターンを自動化して楽をしようとする。

子どもの頃はあんなに大変だった自転車の運転も、慣れたら最初の苦労をさっぱり忘れてしまうし、どうやってバランスを取りながら乗っていたかなんて考えることもない。

これが、人間のすごい能力でもあるのだが、このことに気づいている人は意外と少ない。

気づいていないと、間違った力の伝達をしていてもそのままになる。

間違った力の伝え方は、間違ったからだの使い方に起因していて、結果として「痛み」や「不快感」としてフィードバックされる。

そのフィードバックに対して、改善を施さなければ、結果はさらに悪くなる。

悪くならなかったとしても、良くなることはない。

不調や痛みについて答えはからだが知っている。2/22の記事へ

旅は非日常と言ったが、旅に出るまでは日常が連続している。

出発までの残された時間、疲れを残さないようにトレーニングに勤しみながら

感覚に意識を向け、からだの使い方を今より「快適な状態」へとアップデートしていくことが、巡礼の旅を快適にするかに大きな影響を与える。

EL CAMINO サンティアゴ巡礼の旅 〜セッション2〜

からだを整える方向

立体的である私たちのからだは、前後・左右・上下の3つの面で動く。

“体幹が安定” して “からだが整った” 状態であれば、この3つの異なる方向に、安定して動くことができる。

 

セッション2 〜からだに新しい視点を持たせる〜

私たちは「からだ」というものを見るとき、多くの場合が正面(表)、もしくは背面(裏)だ。

しかし、表と裏だけではペラペラな2次元のモデルのままだ。

からだを立体的に感じるためには、もう一つの視点、側面(横)から捉える必要がある。

つまりセッション1で感じたからだの中心は、まだ2次元のモデルだったと言うことだ。

セッション2では前後の中心から、同心円状に動きを広げていき、左右の幅を感じるように骨盤周辺の軟らかい組織(筋肉・腱・靭帯など)から手足の末端へと動きを広げながら、からだのバランスが3次元で機能するように働きかける。

 

体感力

これは下肢を側面から見たイラストだが、側面にある筋肉はぐるっとねじれながら前面や背面へと伸びている。

あるいは前面や背面から、側面へと伸びているとも捉えることができるのだが。。。

つまり、私たちのからだは箱のように単純な構造をしていないと言うことだ。

からだの仕組み(構造)について誤った認識をしていると、正しく動かせることはない。

横へ引かないと開かない扉を押していたり、押さないと開かない扉を引いていたりすると、扉はビクともしない。

私たちは目が前についているので、どうしても正面で物事を捉えてしまう。

ついつい見慣れた状態で考えてしまうので、誤った認識に気づかないまま過ごしているのだ。

手を使ったり、トレーニングアイテムを使いながら、こうした誤った認識に気づくためには、クライアントと意思疎通を図りながら、ゆっくりと優しく双方向で確認をしながらセッションを進めていく必要がある。

 

からだが快適なポジションを見つけるのをアシストする

2回目のセッションでは、目に見えない場所の不必要な力に気づき、それを緩めることがカギになる。

不必要な力が抜けたことで、からだはふっくらして組織が弾力性を取り戻す。

左:Before 右:After   *緑枠:変化の大きな部分

Beforeでは垂直な重力に対して、首と頭が前の方へ動き、胸のスペースが潰れた姿勢になっている。

Afterでは、潰れていた胸がふっくらとして、頭が後ろの方へ動いた。またそれらが改善されたことで腕も脚も少し長くなったように観てとれる。

からだは動くようにできている。

息を止めて、からだをギュッと固くしてしまうと動きは悪くなる。

呼吸をしながら動き、その際に全方向にからだがゆっくり膨らんだり縮んだりできる状態をイメージしながら、からだのなかで動きを拡張していくことができると、からだは本来持っていたバランスを取り戻す。

あたまの中のからだの地図を更新して、忘れていた自分のからだを取り戻すことができるようになれば、いつでも、どこでも、自動的にからだを快適に動かせるポジションを探せるようになる。

 

EL CAMINO サンティアゴ巡礼の旅 〜セッション1〜

からだを整える方向

立体的である私たちのからだは、前後・左右・上下の3つの面で動く。

“体幹が安定” して “からだが整った” 状態であれば、この3つの異なる方向に、安定して動くことができる。

セッション1 〜からだの中心を感じる〜

からだの中心である骨盤。

前後・左右・上下を分ける場所が交差するところが、からだの中心、つまり骨盤だ。

この骨盤に強さと柔らかさを取り戻すことで、からだはバランスを取り戻す。

そのため、セッション1では骨盤周辺の軟らかい組織(筋肉・腱・靭帯など)に働きかける。

 

骨盤力 〜方向性は重さを感じて決まる〜

骨盤は、おなかの中にある内臓を支えている。

質量(重さ)があるものは下へ下へと力が伝わるから、骨盤周辺に不必要な力が入っていると立体的にそれらの重さを感じるのは難しい。

からだの前面には骨がないので、おなかが出て当然なのだが…

私たちの美の意識が邪魔をして、おなかをポヨンとすることが難しい。

こうして外から不必要に強い力で抑え付けられた内臓は、本来あるべきではないところへ収納されてしまう。

こうした理由から、私たちが慣れ親しんだ “腹筋運動” が除外され始めたのだが、まだまだ知らない人が多いのは残念なことだ。

2本の足で歩く人間の骨盤は、上半身の重さを歪みなく、脚に伝える力の中継ポイントの役割を果たす。

地球の重さも、宇宙空間に対してバランスよく掛かっている。

同じように内臓の重さも、骨盤の内側の空間に対してバランスよく掛かることができれば、脚に伝わる力もバランスが良くなる。

人間以外の生き物の多くはおなかがポヨンとしている、最初のセッションで引き出したいからだの力は柔らかくてしなやかな骨盤力だ。

 

からだが快適なポジションを見つけるのをアシストする

セッションでは、骨盤周辺の不必要な力に気づき、緩めることがカギになる。

不必要な力が抜けたことで、からだはふっくらして、骨盤周辺の組織が弾力性を取り戻す。

左:Before 右:After   *赤矢印:変化の大きな部分

Beforeでは垂直な重力に対して、首と頭が前の方へ動き、胸もひしゃげて少し前傾した姿勢になっている。

Afterでは、胸と腕がふっくらとして、頭が後ろの方へ動き、それらが改善されているのが観てとれる。

ハンモックやブランコに乗っていて(バランスを崩した時)からだが傾くことで腕や脚に力が入るのは想像できるのではないだろうか。

重力に対してからだの軸が傾くと、立つことに必要以上の力を使ってしまう。

また、その状態でトレーニングを始めると、軸の傾きがそのままになってしまう。

非日常でのパフォーマンスを上げるためには、日常の “立つ・歩く・座る” のクオリティが大切になる。

あたまの中のからだの地図を更新して、忘れていた骨盤力を取り戻すことができるようになれば、いつでも、どこでも、自動的にからだを快適に動かせるポジションを探せるようになる。

 

EL CAMINO サンティアゴ巡礼の旅 〜筋膜のネットワークへのアプローチ〜

からだを整えるということ

からだを整えるというと整体に行くというのが一般的なイメージだろうか。

整えるというのは左右対称にするイメージかもしれないが、私たちのからだは立体的であるし、そもそも利き手があるので左右非対称だけでは不十分だ。

プラクティショナー(施術者)は左右はもちろん、前後・上下を含めて「重力」に対してバランスよく整え、且つ動いている時もそのバランスが整っている状態を作り出す。

ベッドに寝転がりからだが静止している状態で整っても、動いている状態で整っていなければ意味がない。

動いている時、動力を伝える下半身から上半身へと、力が安定して伝わってこそなのだ。

あるいは職業病とされるように、日ごろの動きが独自の癖を生み、特殊な状況下で特異的な動きのパターンを作り出していることもある。

だから、からだが正しいポジションで動けるようにトレーニングが必要になる。

様々な動作の中でからだを安定して動かすことができるように、整える必要があるのだ。

 

重力と筋膜ネットワーク

筋膜という言葉がだんだんメディアで紹介され、認知度を上げてきた。

様々な筋膜にアプローチする手法は数多あるが、ロルフィング®️は別格に思える。

そのロルフィング®️ *注釈を考案したアイダ・ロルフ氏は “重力は最良のセラピスト”だと述べた。

私たちは地球上どこにいても、どんな姿勢でも重力からは逃れることができない。

映画Zero Gravityでもあったように、重力に負けてしまうと地面に這いつくばってしまう。

私たちは重力に潰されないよう、反発する力をうまく利用することで二本足で立ち暮らしているが、赤ちゃんがだんだん行動範囲を広げて行くプロセスは、まさに重力への適応の始まりだ。

その重力への適応をサポートしているものは、全身に張り巡らされている筋膜組織で重力を感じることだ。

からだの組成を考えると、私たちのからだの大部分を占めているのは水分だ。

水は器に入っていないと下へ下へと流れていってしまうが、何か器に包まれていれば流れ落ちることなく同じ場所にとどまることができる。

この器こそが筋膜組織の正体だ。

ただし、筋膜は伸び縮みして柔らかく強さや復元力などを兼ね備えたゴムのようなものなので、叩きつけても割れない水風船のようなものなので、形を変えない硬い器は想像しないで欲しい。

つまり、筋肉とはからだの中の一つの仕切られた空間、その中にあるモノのことで、その筋肉を包みからだを複雑に繋いでいるのが筋膜のネットワークのことを指し、

その筋膜のネットワークを駆使することで、私たちは誰に教えられるわけでもなく、重力に適応して寝返りをし、ハイハイをし、つかまり立ちをして1年が経つころにやっと2本の足で立ち上がり、歩くことを始めるのだ。

*註釈 ルフィング®️って何?という方は、ぜひロルファーの藤本靖さんの著書を読んで欲しい。

体感力を高める

サンティアゴ巡礼の旅のサポートでは、徒手療法(マニュアルセラピー)で筋膜ネットワークにアプローチしながら、エクササイズを通して正しい動きを身につけ、どのようにからだを使えば省エネルギーで動けるようになるかを感じる力を養うのが目的となる。

また、長い旅の行程でからだに不調を感じた場合に、自分で対処できるようにする(セルフケア)ことも合わせて行なっていく。

EL CAMINO サンティアゴ巡礼の旅 〜からだの仕組みを知る〜

からだの仕組みを知る

もしあなたが来月からキャンピングカーで日本一周の旅に出るとして、旅に出る前にはそのキャンピングカーがどのようになっているのか調べたり、知ろうとするはずだ。

同じように、私たちのからだは思い通りに動くのが当たり前だが、いざ非日常に飛び込むとなるとからだが動く原理(メカニズム・ルール)は知っておいたほうがいい。

その原理原則をわかりやすくまとめると次のようになる。

①重力

重力は地球上の全てのものにかかってくる力、宇宙の法則といっても良い。

この力があるおかげで、私たちは地に足をつけて生きている。

運動方程式

これは力と質量と加速度の関係性を示したもので、歩行動作の場合はF(運動量)= M(重さ)× A(速さ)となる。

このロボットには重さがあり、床が動くことで加速度が生まれる。

だからロケーションは限られるが、重力だけで運動を継続することができる。

永久機関もそれと同じメカニズムで調和がとれた動きになっている。

 

②テコの原理

テコが働くことで、小さな力で大きなものを動かすことができる。

バックパックを背負いながらだと、自分の体重プラスαの重さになってくる。

足を棒のようにして歩いていたら1時間歩かないうちに弱音を吐くだろう。

関節(テコ)がないと楽に歩くことができない。

先ほどのロボットも人間の脚と同様に、3つのセクションからなっているのでテコの原理で動き続けることができることが容易に想像ができる。

テコは滑車でも同じように働き、滑車が大きかったり、その数が多いほど大きなチカラが出せるようになる。

人のからだには滑車はないが、股関節・膝関節・足首関節と関節周辺の大きさが滑車の大きさに当たるので、関節可動域が大きい方がより少ない力で大きな動きを作ることができ、それら関節が良いタイミングで連動することが、楽にからだを動かすためには重要になってくる。

私たちは自分の思ったようにからだを動かすことができる。

しかし、舗装された道路では常に一定の推進力を発揮することができるが、足元のコンディションは未整地であれば一歩ごとに変化する。

サンティアゴ巡礼の道は変化と起伏に富んでいる。

荷物を持って連日20kmの道を歩くとなると、 “自分のからだがどのように動くのか、また今はどれだけ動かせて、そこからどれだけ動かせるようになるのか” を知ることは、快適な巡礼の旅を送るのに大切な要素になる。

EL CAMINO サンティアゴ巡礼の旅 〜からだを整えるわけ〜

年が明けてから相談を受けたサンティアゴ巡礼の旅のサポート

出発は4月を予定していて、サン・ジャン・ピエ・ド・ポーからサンティアゴまで全長800kmの巡礼。

旅人は66歳男性、仕事はしているが運動習慣はない。

40日間、荷物を背負いながら20kmを歩くことに不安もある。

過去の記事:EL CAMINO サンティアゴ巡礼の旅のサポート

 

からだに気づく

トレーニングをして鍛えることも大切だが、まずは柔らかく弾力性のあるからだに整えていくことが大切だ。

なぜなら、仕事やこれまでの暮らしで、からだの可動域がある程度制限されているから。

からだを動かす仕事をしていても、毎日のルーティーンはだいたい決まっている。

そしてからだは動きに合わせて徐々にフィットしてくる。

脳は、からだを最適化させることで、無意識で同じ作業をするのを簡単にしようとする。

その“自分で認識していない”からだの歪みをそのままにしてトレーニングをしても、多くの場合それを助長させることになる。

重心の定まらないものを、安定して立たせておくには多くの労力を必要とする。

厳密にいうと臓器の配置などから人のからだは左右対称ではない。

そして左右対称じゃないのが当たり前なのだが、左右対称という前提で多くの人は動いている。

左右対称じゃないものを、左右対称だと思って動かしていれば歪みが生じるのは必然だ。

“自分で認識していない”からだの歪みに気づくこと。

それがからだを整えるためのスタート地点になる。