感覚って不思議だと思いませんか?
ある人は快適に感じる温度でも、別の人は不快に感じたり。
平面に書かれているはずのイラストが、なんとなく立体的に見えたり。
同じ物事に対して感じ方が変わってくるのは当たり前だけど、どこか不思議な話です。
そんな「感覚」ですが、視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚の五感だけでなく、圧覚・痛覚・冷覚・温覚・運動感覚・平衡感覚・内部感覚などがあり、脳-神経系がこれらを統合しています。
そんな感覚を支配している脳-神経系ですが、その脳-神経系と密接な関係を「皮ふ」が持っているという話です。
あたりまえですが皮ふも、脳も、筋肉も。元はひとつの細胞から始まっています。
からだはひとつとひとつの細胞から始まり、幾多の細胞分裂を繰り返してできた唯一無二の存在で、拡がる特性を備えています。
人は、生まれて成長に伴いさまざまな刺激を受け、身体能力や行動範囲を拡張していきます。
それだけではなく、コミュニケーション能力や表現力、高度な専門知識なども高めていきますが、それらは世界の中で自分のポジション(立ち位置)を快適にするために発揮されます。
しかし周囲が見えていない場合は、摩擦が生じたり、孤立したりして、拡がりきれず窮屈な状態に陥ることもあります。
人はからだ(感覚)を通してさまざまな情報を感じ、次のアクションを選択し、そのリアクションに対して、何かを感じ…と作用-反作用を永遠と繰り返しているのですが、その感覚を統合しているのは 脳-神経系で、脳が最終的に判断をします。
例えば、喉が渇いたな… → 水を飲もう! → 水道まで移動しよう →……..といった感じです。
一方で、先に述べたように皮ふは 脳-神経系に影響されない特別な能力を備えています。
環境の変化をからだの中で電気信号を送っている神経と同じ、もしくはそれよりも早い速度で反応することができるのです。
お風呂が暑すぎたり、寒すぎたりして思わず脚を引き上げた経験はありませんか?
これは皮ふにある感覚器官(センサー)が刺激に対して、脳を介さず起こす「反射」で、頭で考えるより早くからだが反応することで、組織が損傷するのを防いでいるわけです。
からだの内側にある 脳-神経系と、表面にある皮ふが同じような役割をしているのは、細胞の中の 外胚葉 というエリアから派生しているからです。
また、皮膚は外的ストレスや感情にも反応します。
寒いときにたつ鳥肌や、怒った時にお腹にぎゅっと入る力など、無意識すぎて気がつかないようなことでも、肌で感じたことはからだに反映されます。
それはもちろん嬉しい気持ちや幸せな気持ちで満たされた時も同じで、からだはリラックスして力が抜け快適な状態になります。
暮らしの中で意識することはないかもしれませんが、皮ふで感じたことに反応して、わたしたちのからだは連動しています。
なのでストレスを感じてギュッと萎んだ姿勢だと、細胞までギュッと押しつぶされてしまします。
からだが動かしづらい状態では、からだの痛みや不調にばかり意識が向きますが、
快適に動くためにはどうすれば良いか、当たり前すぎて見落としている”感覚”に意識を向けてみるのも良いかもしれません。