地方創生と言われ始めた数年前、企業のCSRの一環として開墾が取り上げられていたのは記憶に新しいですが、
その後も、それらのプロジェクトは継続され、開墾を続けているのでしょうか、
それとも開ききったので、次なるプロジェクトへと移行したのでしょうか。
ともあれ数十年前までは人の営みがあった土地が、野に戻るのはあっという間。
田舎では過疎化(少子超高齢化)とともに、耕作放棄地が徐々に増えてきました。
草木が生い茂ったり、周りの杉林が伸びきって日照りが悪かったり、獣害があったりと様々なことがあるとは思うのですが、
先代の人たちが苦労して築いた土地が、野に帰って行くのを見るのはなんとも悲しい気持ちになります。
人手不足になると、農作業は効率化を図ろうと農薬の力を借りなくてはならなくなります。
ミツバチを撹乱させるネオニコチノイド系の農薬や、悪名高いラウンドアップなどの除草剤(枯葉剤)を使用するのも止む終えないのかもしれません。
田舎に住んでわかることですが、出荷され商品になる野菜と、自家消費の野菜は作り方が違います。
見た目が綺麗な野菜の方が、商品としての価値が高くなるから農薬や除草剤を使うのです。
オーガニックの野菜を食べよう、地球環境を守ろうなどと言うのは簡単ですが、そこにかかる手間や労力を知ろうとすることはなかなか簡単ではないような気がします。
そこで山のなかできれいな空気と水、薬剤が使われていない耕作放棄地を開墾して、じぶんが安心して食べることのできる野菜を作ってみることにしました。
重さ5キロほどの草刈機をふりまわし、ツルハシを使って茅萱や低木の根を掘り起こし、耕運機を使い、そこからまた手作業で畝を立てて荒れた土地に命を吹き込みます。
まだ6月とはいえ、日差しは厳しく屋外でからだを動かしていると身体中から汗が吹き出し、下手なトレーニングよりからだに効きます。
漁師から農家へと転身を遂げた友人の「土は動かない」という言葉の意味が少しわかったような気がします。
もちろん農家として生業にしている方からすると、まだまだ超初心者レベルですが、これでひとまず有機的な土壌にタネを落とす準備ができたはずです。
しかし、こうすることでからだを使って畑をすることのタフさを実感できましたし、こうしたからだの使い方に対するコンディショニングやセルフケアについて考えることもできました。
見た目が良いからだということも否定はしませんが、からだの各器官が有機的に機能する働き者のからだでいた方が、長期的なビジョンで持続可能であると思われます。
都会ではなかなか求められる場がないかもしれませんが、田舎では興味関心がある方が結構いてくれるのではないかと思いますし、何より自分が育てた作物を食べることができて、実労働で効率よくからだを動かして暮らすことができるのは、何より健康なのではないでしょうか。