構造を維持するため、からだは自動的に動く

コバヤシヒロタ

からだは張力のバランスにより構造を保っている

その張力は、筋肉や腱・靭帯そして筋膜など、伸縮可能な柔らかい組織によって発揮されています。

構造を保つための張力バランスについて理解しようとしたとき、次のようなことを考える必要があります。

それは

からだを動かすとき、一番重要なところはどこだと思いますか?

というもの。

 

腹筋?

 

背筋?

 

インナーマッスル?

 

体幹?

 

脚?

 

色々なことを考えてもらいたいのですが、おそらく正解できた人は僅かではないでしょうか。

 

答えは「脳」です。

なぜ脳なのか?

からだを動かす筋骨格系 [筋肉] は、中枢神経系を介して動くようになっていて、

そのからだの感覚を介して得た情報は、脳で処理されてリアクションが反映されるからです。

脳が正しく情報処理ができなければ、からだを動かすことが難しくなります。

ボクシングで顎にパンチがあたり、脳が揺れてボクサーが崩れ落ちるのを想像してもらうとわかりやすいのではないでしょうか。

つまり、からだは「脳」を安定させるために動いているということなのです。

 

「体幹」という言葉の呪縛

ということは、体幹トレーニングというのは脳を安定させるためのもの?

だとしたら体幹トレーニングをしている目的って…と混乱してきたかもしれませんね。

 

なので、まず「体幹トレーニング」という言葉の呪縛から逃れることが必要です。

(なんでも英語がスタンダードだと言うつもりはありませんが、フィットネスに限らず医療やリハビリは、アメリカをはじめとする海外が一歩も二歩も先を行っているので、本質を理解しようとすると英語で考えることをするのが最善です)

個人的に「体幹トレーニング」というわけのわからない言葉に翻訳した人に質問をしたいのですが…

英語で「体幹トレーニング」は「Stability Training」と言い、意味は「安定性を高めるトレーニング」となります。

「バランスボール」として知られているこのボールも「Stability Ball」

Stability [スタビリティ] とは「安定性」という意味で、安定性というのは個別の部位の安定ではなく、全体の安定性をさします。

例えば、からだは頭の先から足の先まで繋がっているので、肘から先だけが安定するなんていうのは聞いたことありません。

安定性を生み出すシステム [装置] をスタビライザー [Stabilizer] と言いますが、

大型の船舶には波による船体の揺れをなくすため、このスタビライザーが付いていますし、手ブレをなくすために使うジンバルなどもこうした機能を利用しています。

 

安定は「固定」ではない

では、わたしたち人間のからだはどのように機能し、張力をどのように働かせ、構造を安定に保つのかというと

体幹・コア と表現は色々ありますが、すべては「脳」を安定させるための機能のことをいいます。

 

実際には、軸骨格と言われる「頭蓋骨から尾骨までの脊椎 [背骨] 」と、そのエリアにある「胸腔と腹腔」と呼ばれる空間が、呼吸により連動し、内側から圧力を調整し、同時に四肢を伸ばすことで外へと圧力を逃しながらからだにかかる反力を相殺し、それらの空間を潰さず、また骨格の配置が崩れないよう、常に変化に対応しながら微かに動き続けて構造を維持しています。

 

文字にするとますます理解するのが難しくなるので、ワークショップで解説した動画があるのでこちらをご覧ください。

 

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